「子どもの主体性を大切にしたい」
「やりたいことをやらせてあげたい」
「自分で考えて行動できる子に育ってほしい」

これは多くの保育士が願うことです。
しかし── そもそも“主体性が育つ”とはどういう状態なのか?
その根っこを理解しなければ、主体性保育は理想論で終わってしまいます。

マズローの5段階欲求で見る子どもの主体性

心理学者マズローの「5段階欲求説」は、人の発達や心の成長を考える上での基本理論です。
実はこれが、子どもの育ちにもそのまま当てはまります。

マズローの欲求段階と子どもの育ち

  1. 生理的欲求 … 眠い・お腹がすいた
  2. 安全欲求 … 安心して過ごせる環境
  3. 社会的欲求 … 仲間や大人に受け入れられている実感
  4. 承認欲求 … 認めてもらえる経験
  5. 自己実現欲求(=主体性) … 自分で考え、選び、行動する力

主体性は「最上位」にある欲求。
つまり 下位の欲求が満たされて初めて芽生える力 なのです。

1歳児の“イヤ!”は主体性の芽

特に大切なのは、自我が芽生える1歳児。
この時期の「イヤ!」や「こだわり」は、“自己を育てる大切なステップ”です。
• 「集団だから」と無理に抑え込む → 主体性ではなく「従属心」が育つ
• 「成長のサイン」と受け止める → 自分が受け入れられていると実感し、安心して次のステップへ

わがままは悪? それとも成長の芽?

「わがまま=悪」と捉えるか、
「成長の芽=自己を育てる力」と捉えるか。

これはすべて、大人のまなざし次第です。
保育者がどのように受け止めるかで、子どもの未来は大きく変わります。

主体性保育の実践 ― “順番”を大切にする

主体性を伸ばすとは「自由にやらせること」ではありません。
大切なのは、発達の順番を踏みながら欲求を一つひとつ満たしていくことです。
• 眠いときに眠れる
• 安心できる環境がある
• 仲間に受け入れられる経験をする
• 小さな頑張りや挑戦を認めてもらう

▶その先に「自分で考え、行動する力=主体性」が芽吹きます。

まとめ:主体性は土台の上に育つ

ズローの5段階欲求は、主体性保育を考える上での羅針盤です。

・主体性は最上位の欲求にあたる
・下位の欲求が満たされてこそ芽生える
・1歳児の「イヤ!」は自己形成の芽

保育者の見方が変われば、保育が変わる。
保育が変われば、子どもの未来が変わる。

ぜひ「順番」を大切にした保育を、日々の実践に取り入れていきましょう!

次の記事では子どもは生まれながらにして主体性のかたまりであって、その芽を摘まない為に私たち大人=保育士がどう向き合えばいいのか?を書いていきたいと思います。