はじめに
2025年10月1日より、「保育所等の職員による虐待に関する通報義務」が正式に施行されました 。
この制度は、保育所や認定こども園などの現場で不適切な保育が起きた際に、職員が通報することを義務づけるものです。
私はこの通達を見て、「やっと出てくれた」と感じました。
しかし、同時に「これだけでは現場は変わらない」とも感じています。
制度の目的と限界
通報義務制度の目的は明確です。
子どもと保護者が安心して通える環境を整備すること。
虐待や不適切な保育を早期に発見し、再発を防ぐための制度設計です。
対象は保育所・認定こども園・家庭的保育・病児保育・放課後児童クラブ・児童館など多岐にわたります 。
しかし、制度が整っても「現場の意識」や「人の心」は、通達だけでは変わりません。
むしろ、園内の空気が張りつめてしまうケースもあります。
不適切保育の再定義:「日々の延長に虐待がある」
今回の通達では、「不適切な保育」の概念が見直されました。
従来は“虐待に至らない望ましくない関わり”とされていましたが、今後は次のように整理されています。
「日々の行為の延長に虐待がある」
つまり、私たちの日常の保育そのものが「子どもの尊厳を守るか・奪うか」を常に分けているのです。
毎日の振り返りと改善の積み重ねが、虐待を防ぐ最大の予防策になります。
「変わる」ことは、他人ではなく自分から
私は24年間の保育所経営の中で、不適切な保育をしてしまった過去があります。
そして、職員の中にもそのような行為をしてしまった者がいました。
そのとき学んだのは、
「人は他人から変えられない」
「人は自分で気づき、変わるしかない」
ということです。
通報義務は必要です。
でも、本当の変化は“通報”ではなく“気づき”から始まります。
園長の姿勢が園の鏡になる
園は園長の写鏡です。
園長の人間観・倫理観・保育観が、そのまま現場に反映されます。
保育所保育指針・総則にもこう書かれています。
「職員は専門性の向上に努めなければならない」
つまり、学び続ける姿勢そのものが、子どもを守る第一歩なのです。
園長が学び、主任が変わり、職員が影響される。
そうした「学びの循環」こそ、園を変える唯一の道です。
保育を変えるのは、制度でも通報でもない
通報義務によって、虐待を減らす仕組みは整いました。
けれど、子どもを守るのは「制度」ではなく「人」。
通報義務は“守るための制度”であり、
学びは“守り続ける力”です。
園長も主任も職員も、
それぞれが自分の保育を振り返り、
「私は何を子どもに伝えているか?」
「どんな園でありたいか?」
を問い直すこと。
これこそが、本当の改革です。
ゴンさんの想い
通報義務が始まる今、
園長・主任・保育士一人ひとりに伝えたいのは、
「あなたが始まりです」 ということ。
保育所を変えるのは行政でも制度でもありません。
“学び続けるあなた”が、
子どもと園の未来を変えます。
学びから始める「保育の再生」へ
私は今、全国で以下の研修・講座を行っています。
▶【保育士等キャリアアップ研修】
▶【保育心理カウンセラー養成講座】
▶【保育リーダー養成塾】
▶【主体性保育実践セミナー】
通報義務だけでは、子どもたちは守れません。
「人を変える」ではなく、「自分が変わる」。
その学びの力を、ぜひあなたの園に持ち帰ってください。