手前味噌の話で恐縮ですが、先日ちょっと大げさかも知れませんが、当園の遠足の保育で素晴らしい保育を書いてみました。
場所は大蔵運動公園、蒸気機関車があるので通称「汽車ぽっぽ公園」と言われている公園での出来事です。
私たちは、午前中砧公園の遊具広場で遊び、桜の花の下でお弁当を食べ、その後移動して汽車ぽっぽ公園に行きました。1歳児クラスから5歳時クラスまでの子供たち14人を、私を含めて4人のスタッフで引率していました。
主人公は27歳の女性保育スタッフ(無資格)当園で5年のキャリアがあります。彼女はとても愛情深い保育スタッフで、遠足当日は1歳の男の子と、ほぼマンツーマンで保育していました。午前中に活動した砧公園では、のびのびと大型遊具で遊び、お弁当を食べた広場から、1歳ににしては汽車ぽっぽ公園まではかなりの距離がありますが、彼はその保育スタッフと共に手を繋ぎ、自分の足でゆっくり完歩出来ていました。
そして汽車ぽっぽ公園でも自由に遊び始め、彼は汽車ぽっぽに入るため14段の階段を手すりにつかまりながら自分の足で登ることができました。その後汽車ぽっぽの中を見て、帰りの14段の階段を降り始めましたが・・・5段ほど降りたところで泣き出してしまいました。
降りるのが怖かったのかもしれません、もしかしたら午前中からずっと遊びまわって、お弁当を食べたばかりで眠くなってしまったのかもしれません。
彼はその保育スタッフに泣き叫びながら抱っこをせがみました。
しかし彼女は、決して抱っこをして下まで降ろす事はしませんでした。
静かに手を出し、共に手を繋いで自分の足で降りることを無言で伝えています。
しかし彼は、その後も抱っこをせがみ続け、歩いて下に降りようとはしませんでした。
しばらくすると彼女は、階段に腰をおろし、彼を座って抱きしめました。
私は、30メートルほど離れたところでその様子を見守っていたので、その時彼女が彼に対して何を語りかけていたのか?また無言でそうしていたのか?は分りませんでしたが、すぐに彼の泣き声は鎮まりました。
そして彼女は立ち上がると、彼の手を引いて残りの階段をゆっくり降り始めました。
下まで降り終わると、彼女は彼をさっと抱きかかえ、優しく包んであげていました。
その姿はまるで、生まれたばかりの雛鳥を優しく包む親鳥の姿に似ていました。
私たちは、“子を育む”と言う言葉を使いますが、この育むと言う言葉の語源は、親鳥が雛鳥を羽で包み込む様子、羽包む(はづつむ)から来ているそうです。
彼女の優しい手に包まれた彼は、まもなく静かに眠りにつきました。
その姿を見て・・・私の胸はとても熱くなりました。そしてこのような保育をしてくれる保育者に、感謝の気持ちでいっぱいになりました。
子どもを愛で育むと言う事は、子どもの力を信じて待つ事であるんだな!と言う事を、彼女の保育を観る事で改めて実感することができました。
その後私は彼女に対し、“今の保育、本当に良い保育だったよ❗️”と笑顔で一言お伝えしました。