92歳のおばあちゃん現役保育士の本

皆さんは、92歳のおばあちゃん現役保育士の本を読まれた方はいらっしゃるでしょうか?

半世紀以上に及ぶ自らの保育人生の中で、著者は“”私の保育の成長に終わりはない・・・“”そんな言葉を言っておられます。

私も、教育・保育の現場に立ち続けてようやく半世紀に成りますが、こちらの大先輩から見ると、尻の青いまだ駆け出しと言えるので、日々成長し続けたいと思っています。

さて、私は前回のブログの中で、現在の日本の保育は、子どもの人生の最も大切な時期にかかわる保育士が、保育士試験に受かっただけの基準だけで行われていると言う実情を書かせて頂きました。

この様な日本の保育制度の中で保育士たちは、人生経験や保育経験・知識が乏しい状態で日々奮闘していますから、当然悩み苦しみ、まともな保育を出来ない人も少なくなく、『日々子供達に教えて貰っています〜』と言う保育士も居ますし、こう言う私自身も子ども達から教えられている日々です。

では私たちは、人として、保育士資格者としても未熟な者がどの様な思いを持って仕事をしていけば良いでしょうか?また、運営に携わる者であるならば、どの様な点に配慮して運営していったら良いのでしょうか?

質を高めるためには

私は兼ねてから、子どもの成長を促す為には、保育の質を上げる環境の質を上げることが重要で、その環境の中で最も大きな環境が保育士の人生観・保育観であり、子供たちの手本者となる保育士の価値観(保育観)を高めて行くことが最も重要なことである事を訴え続けています。

こうした観点から考えると、保育士の質を高める為には、本を読んだり、セミナーに出席したり、仲間と保育観を交わしたり、自己の成長を高める歩みを行なって行く事であり、運営者側は、保育士一人一人の成長の為の歩みを支援してあげる事で有ると思います。

しかし、この事を進めて行く上で考えなければならない事は、人間の脳は変化を拒むという事です。これはどういう事かと言うと、人間の脳には、現状維持バイアスと言う機能が働いて、新しい保育を学ぼうといたり、学んなだ事を実行しようとすると、脳が自然に拒んでしまうらしいのです。

これは、人の行動のあらゆるところに現れる事なのですが、自分が経験してきた行動や価値観を急激に変えようとしても、抵抗する力が働き、なかなか前に進むことが出来ないと言う現象を生んでしまうのです。

この様な脳の機構も手伝ってか?新しい保育所保育指針が改定され、3年の月日が経ちますが、日本の保育はなかなか変わって行かず、未だに伝統的に行われてきた保育や一斉保育に拘り続けている保育所も少なくないと思います。

この様に人間の成長は、一挙一頭即に出来るものではなく、物凄く時間のかかるものであり、更にこれが集団となると、この何倍もの時間が掛かる事になるのです。

保育所保育指針は、10年に一度書き換えられますが、さて・・・これから次の改定までに、果たして日本の保育は、保育所保育指針に準じてどれ程変わって行けるのでしょうか?