2022年4月16日、広島の認可保育所で5歳児の子どもがお散歩中に居なくなり、警察への通報2時間後、川で遺体となり発見されました。

また昨年7月には、福岡県の保育園の送迎バスに取り残された男児が熱中症で死亡すると言う事件が起きました。

前年から今年にかけて、認可保育園の園外保育中に起きた痛ましい死亡事故や、公園での置き去り事故がちょくちょく報道されています。

「認可保育園の園外保育での置き去り事故は、決してあってはならない!」と、このような報道がなされるたびに叫ばれますが、このような置き去り事故は東京都の管轄内、2017〜2020年の4年間の間で通報されただけでも、実に94件もあったそうです。
これはあくまで、東京都に通報された分のみの数ですから、通報されていないものや、「〜ちゃんが居ない(汗)」と血相変えて探して見つかり、ヒヤリハットで済んだなんていう例も含めたら、実際の置き去り事故の数はこの300倍(1:29:300の法則)はあるかも知れませんね。

私は今まで、毎日園バスに子ども達を乗せてアウトドア保育をするスタイルを20年間行ってきて、保育現場にこだわる保育を続けながら様々な認可保育所の園外活動のお散歩や遠足の現場を見てきましたが、「これじゃ〜どう見ても置き去り事故が起きるのでは?」と言う園外活動をしている保育所の多い事が分かって来ました。

私が思うにこの大きな原因は、そもそも園側(園長先生)が保育士にはできない能力以上の仕事を任せすぎていたり、保育者の能力に見合った保育を行うことができていない運営をして来たからだと思えて来ました。

そもそも園外保育では、園外保育をしている全ての子どもがどこにいるのか?を常に把握できていなければなりませんが、一般の認可保育所の外遊びの人数を見てみると、普通の大人が人数把握ができる人数を超えた子どもの数を一気に保育している様子を目にします。

ほとんどの認可保育所では、お散歩の時に同じ色のカラー帽子をかぶり、10人以上の園児さんを同じ時間帯に手をつないでお散歩しているようです。私のアウトドア保育の50年の経験上、アウトドア保育に手慣れた保育者でない限り、普通の保育者が一気に把握できる子どもの人数は10人が良いところだと思っています。
手をつないで一斉に歩いているならば可能かも知れませんが、一気に遊び始めたら10人以上の子どもを一人では到底人数把握はできません。
このような人数で保育をしていたならば、誰かが一人で脱走しても気づくはずはありません。

多くの認可保育所では、お外遊びの際保育者の数を基準以上に備えているところも多いですが、この人数ではもはや保育士の数の問題ではなく、一人の保育者が責任を持って子ども全員の数を把握できる人数を超えてしまっている状態です。

私が見るに多くの保育所(園長先生)は、今の保育者の能力や子どもの能力の把握ができておらず、その能力に見合った園外保育ができていない状態になっています。
ですから保育所(園長先生)は、保育者一人ひとりの能力に見合った保育の形態そのものを見直さなければならないと思います。

さてここで、安全保育を検討する上で注意しなければならない事を申し上げますと、保育所側(園長先生)が安全保育にばかり気を取られ、ヒヤリハットをどう少なくするか?と言うことだけに集中してしまい、保育の質が二の次三の次になってしまうことが多くあることです。
私が公園でよく目にする光景なのですが、車の通らない広い公園であるにもかかわらず、子ども達はニ人ずつ強制的に手を繋がされ、松ぼっくりやドングリを拾ったりダンゴムシを発見したり触ったりするなどの自由なお散歩が出来ていない事です。
私の孫の通っていた区立の認可保育所では、お散歩中の会話も許されず、まるで刑務所の囚人の行軍のようであったそうで、毎日園からの帰り道孫は自転車の後ろで発狂者のように叫び続けていたそうです。

このような実例からも、私たち保育者は安全第一(指針の第3章)はさることながら、保育の内容(指針の第5章、保育の質の向上)からも伝えられているわけですから、保育所の職員会議の中ではどうすれば子どもの発達段階に見合った最善の保育ができるか?を指針に則って日々改善していかなければならないのかな?と思っています。

なんか最後にはずいぶん堅苦しいまとめになってしまいましたが、私たち保育者の保育所における保育は、保育所保育指針に則り研鑽し続けることが求められている事なんだと思う今日この頃です。

このブログを読まれた保育者である貴方は、どのように感じられたでしょうか?
保育所の園外保育の内容を、これから少しでも改善していきたいと思われたなら、これからも一緒に学び続けましょう(^^)

このご縁が、共に働く保育仲間の一期一会となりますように心から願っております。

最後まで読んでくださり心から感謝いたします。ありがとうございました(^^)