―指針を読まずに“専門性”は語れない。保育の土台を取り戻す―
近年、全国で相次ぐ不適切な保育の報道。
2025年10月からは、ついに虐待通報義務が明文化されました。
「やっと…」というのが、現場に長く関わる私の率直な気持ちです。
しかし現実には、
▶通報義務ができたから解決
▶ 研修したから大丈夫
…とはなりません。
不適切な保育は制度だけでは止まらない。
現場の“土台”から変えなければ、形を変えて繰りかえします。
不適切な保育はどこから?(三層構造)
① 明確な虐待
身体的・心理的・性的・ネグレクト
② ★虐待と紙一重の不適切な保育
• 見せしめ
• 強制
• 罰としての指導
• 恥をかかせる声かけ
(例)「そんなことしたら赤ちゃんみたいだよ」
③ 人権擁護の観点から望ましくない関わり
子どもの意見無視、共感不足、脅し、急かし…
保育士さんから寄せられる多くの相談が③です。
▶グレーゾーンですが、ここが放置されると②になる
保育所保育指針が示す “責任と軸”
📌 子どもの最善の利益
📌 人権の尊重(遵守事項)
📌 職員は専門性向上に努める義務
📌 園長は環境整備と研修責任
「専門性の向上」とは何か──本当の意味を履き違えてはいけない
近年、「専門性のある保育」を掲げる園が増えています。
英語・運動・絵画・プログラミング・自然体験…
とても魅力的ですし、子どもにとって価値のある活動だと思います。
しかし、私は強く思うのです。
それらはすべて“土台の上”に成り立つものだと。
保育の専門性とは、結論
保育所保育指針を理解し、実践する力です
専門性のスタート地点は
保育所保育指針を理解し、実践すること
保育所保育指針は
保育士が守るべき“遵守事項”です。
つまり、
▶読まなければならない
▶ 理解していなければならない
▶現場全体で実践しなければならない
という最低条件であり、出発点なのです。
「読んだことはある」→十分ではない
重要なのは…
読む → 深める → 話す → 実践 → 振り返る → 進化
“読みっぱなし”は
“持ってるだけの辞書”です
指針を読まずに“専門性”を語ると何が起きる?
- 価値観のズレ
• 保育観のすれ違い
• 現場の混乱と摩擦
• 子どもが置き去り
「うちの園は◯◯教育です」
「子どものために特化したプログラムを」
…どんなに魅力的でも、
指針を土台にしていなければ、それは“理念の暴走”になり得ます。
専門性の向上=指針の読み込み × 園全体で実践
これができて初めて
英語教育や食育、自然保育、アートなど
本当の意味で子どもに価値あるものになります。
私は24年間の現場運営と研修の中で、
指針を軸にした園は強く優しい園になる
と確信しています。
その逆も、嫌というほど見てきました。
未来を変えるのは、制度ではなく「あなた」
保育所保育指針はこう言います。
職員は専門性の向上に努めなければならない
あなたが学ぶ姿勢そのものが、
現場の空気を変え、子どもを守ります。
園を変えるのは国でも自治体でもなく、
気づいた“今のあなた”です。
私はこれまで
数多くの園、保育士さんが変わっていく姿を見てきました。
あなたは一人じゃない。
気づいたあなたから始めましょう。
保育所保育指針は、あなたを守る盾であり、
子どもを守る光です。
