なぜ、私は“主体性”にこだわるのか?
その理由は明確です。
私はこれまで24年間、保育所の経営を通して「平均に合わない子どもたち」が劣等感と隣り合わせで育っていく現実を何度も見てきました。
保育の現場には必ず一定数、平均から外れる子どもがいます。
• 発達に特性のある子
• 家庭環境に課題を抱える子
• 不安が強い子
• 自己表現が苦手な子
• 強いこだわりを持つ子
私の感覚では、全体の2割は「育てにくい」と言われたり、「平均に合わせられると生きにくい」子どもたちです。
だからこそ──私は“主体性を守る”ことに強くこだわるのです。
主体性を奪っていないか?
子どもはそもそも主体的な存在です。
ところが、大人の都合によってその芽は簡単に摘み取られてしまいます。
• 「危ないから」
• 「集団だから」
• 「時間だから」
私たちが何気なく口にするこの言葉の裏に、子どもの「自分で選びたい」という主体性が隠されています。
見直すべき3つのポイント
① 一斉午睡
「みんな一緒に寝る」ことが本当に必要でしょうか?
保育所保育指針が示しているのは「午睡の目的」であり、方法を一律に決めているわけではありません。
• 自律神経の切り替えが苦手な子
• 発達特性のある子
• 活動量によって眠れる日/眠れない日がある子
子どもに「寝るのが下手」というラベルを貼る前に、その子に合った休息のあり方を探す必要があります。
② 行事中心の保育
伝統行事や製作活動は大切です。
しかしそれが保護者の満足や園の形式を優先しすぎてしまうと、子どもの「今ここ」の気持ちが置き去りになります。
▶行事や活動の“目的と手段”を、常に子どもの視点で見直すことが大切です。
③ 子どもを変えようとする保育
「どうしたら言うことを聞くか」と悩んでいませんか?
その発想自体が、子どもを“変えようとする”視点になってしまいます。
必要なのは、子どもを変えるのではなく、自分の関わり方を変えること。
自分の思考グセや声かけを振り返ることで、子どもの主体性を尊重した関わりに近づけます。
学びがなければ“理想論”で終わる
保育所保育指針は、保育士を守る道しるべです。
主体性保育は理想ではなく、指針に書かれた最低限の土台。
だからこそ指針を学び、理解し、言語化できなければ「主体性を守る保育」は実現できません。
まとめ
子どもの主体性は“育てる”ものではなく“守る”もの。
そのままでは生きにくい子どもたちも、主体性を尊重される環境でこそ「この世界は生きやすい」と感じられます。
保育士一人ひとりが、主体性を守る視点を持つことで、保育現場の景色は大きく変わります。
一緒に“主体性を守る保育”を広げていきませんか?