ワンオペ育児を楽しむ様になる為には、落ち込んだ心を上向きにしていくための、いくつかのステップを踏まなければなりません。
(1)では「基本姿勢となる育児をする上での覚悟の話」をさせて頂き、(2)では落ち込んでしまっている心を上向きにする為の「お母さんの今の心を吐き出そう!」と言うテーマの話を進めさせて頂きました。

そして今回は(3)として、「落ち込んでしまった心を平常の状態に上げて行く為のテクニック」をご紹介させて頂きたいと思います。

落ち込んでしまった心を正常な状態に上げていくためのテクニック

先ず、人の沈んだ心を上げていく為のテクニックをお伝えしていく上で大変重要なポイントは、人の脳の傾向を知っておく事が重要となります。この人の脳の機構を理解していると、急激なストレス状態が生じた時でも、冷静に対応することができるものです。

★自律神経を整え、ストレスホルモンから幸せホルモンの分泌を優位にさせるテクニック

先ず、人の脳の傾向は、意図的にポジティブ思考をしていかなければ、ネガティビィティーバイアスと言う機構が働き、自然にネガティブな思考に陥ってしまうことを認識しておかなければなりません。
そして一度ネガティブな思考に陥ってしまうと、コルチゾールと言うストレスホルモンの働きにより、落ち込んだ気持ちだけにとどまらず、様々な身体的な症状(頭痛・吐き気・食欲不振・睡眠不足等)まで出てきてしまいます。

この様な状態を放っておくと、鬱状態が悪化し鬱病へと進展してしまいかねません。
こうして心療内科などに通院されると、薬の服用を勧められる事も有り、一度薬のお世話になってしまうと自力での回復が難しくなってくる可能性もありますので、(2)でも紹介しました聞く事の専門家に早目に相談される事をお勧めしたいと思います。

聴くことの専門家(心理・心療カウンセラー)に相談されますと、思いの丈を吐き出した後の気づきが与えられ、脳科学的な知識の教示や相応しい生活の提案もされる中で、自分の力で解決していく事ができる様になってきます。

以下、脳科学的な見知から自律神経を整え、幸せホルモン(セロトニン)の出し方をご紹介していきたいと思います。

①先ずは鼻歌を歌ってみよう

ワンオペ育児の状況を改善する為には、先ず自分の時間を確保しなければならないのですが、最悪それが出来なくても、先ずはお手軽に子どもを目の前にして気楽に出来るストレス解消方法が、鼻歌を歌う事です。
人には誰でも、自分だけの応援歌があると思いますが、あなたの人生の応援歌はありますか?スマホにダウンロードした自分だけの応援歌を繰り返し流して、イヤホンで聴きながら鼻歌を歌って家事をしていると、おのずと身体ににパワーが湧いてきます。

②子どもが寝たら映画を観てみよう

育児ストレスでにっちもさっちもいかなくなっている時、気分転換に映画を観るのも一つの手です。
貴方は映画を観るのが好きですか?
もし好きならば、お子さんが寝ている時がチャンスです。
観る映画を選択する時、ストレス状態が軽めなら、笑える映画がお勧めですが、相当落ち込んでいるならば、反対に感動巨編泣ける映画を観ることをお勧めいたします。

人は感動して泣いた時、ストレスホルモンであるコルチゾールを軽減させる働きがあり、高ぶった自律神経(交感神経)から平安に至る自律神経(副交感神経)へと自然に至らせてくれるのです。

この涙の自然効果を私たちは見逃していますが、実はとても大切な効果で、自分の気持ちが悶々としているときは意図的に涙を流すことにより、自らの心を平安に導くことすらできるのです。
「泣く」と言う文字は、「さんずい」に「立」と書き、人は泣いて涙を流した後に立ち上がる事が出来るのです。
日本語の素晴らしい言霊ですね。

③怒りたくなったら自分に痛みを与える

「怒りたくなったら自分自身に痛みを与える」これも自分自身の心を平安に導く、あまり知られていない方法です。
第一次反抗期の子どもは、特に男の子はお母さんから見て、信じられない様な突発的な行動に出る事があります。
それがとても危険な行為であったり、目に余る行為であったりすると、カーっと頭に血が昇ってしまいます。

そんな時、大声を出したり、過激な行動に出てしまう事もよくある事ですが、この脳の機構を知っていると速やかに対処する事が出来ます。

お勧めの方法は、髪の毛を結ぶ輪ゴムなどを常に腕に付けておいて、カーっ!と来たなと感じたら空かさずそのゴムを引っ張って弾き、自分自身に痛みを与えるのです。
すると脳は急激にセロトニンを分泌させて、昂った心を落ち着かせる事が出来ます。
この時、輪ゴムを用意出来ていなかったら、パンッと力強く手を叩くだけでも効果がありますので試してみてください。

④深呼吸をしてみよう

溜まったストレスを解消させるためにはリラックスする必要があります。リラックス状態は交感神経と副交感神経がバランスよく働いていることが不可欠です。
交感神経:緊張状態が続くと優位になる副交感神経:のんびり休んでいると優位になるこの2つの神経のバランスが取れると自律神経が上手く働いていると言えます。

ストレスが溜まった状態は、交感神経優位となり、緊張状態で浅い呼吸になりやすいです。
殆どの自律神経は、自分で意識的にコントロールすることができませんが、呼吸だけは意図的にコントロールすることができます。そこで大きく息を吸い、ゆっくりと吐き出せば副交感神経が優位となりセロトニンが分泌されて、緊張状態を緩和させることができるのです。
この深呼吸は、呼吸法として専門的にトレーニングしていけば、自分自身のメンタルヘルスのためにマインドフルネス(瞑想法)へと極めて行く事も出来ますね!

⑤美味しい水をたっぷり飲んでみよう

人間の体の3分の2は水から出来ていますから、体の水分が不足すると体の機能に様々な支障が現れて来ます。

極度のストレスにより、自律神経のバランスが崩れると、鬱状態になって来ますが、鬱状態になった人に聞いてみると、水を殆ど摂っていない事がわかります。

人は水を摂らなくなると、当然血液の流れが悪くなり、頭痛・吐き気・食欲不振・睡眠不足などの身体の諸症状も出て来てしまうのです。

こんな時は、意図的に美味しいお水を毎日1~2リットルの水を飲むことを意識して、こまめに水分を摂取するようにしてください。水を飲むことで体の内側から副交感神経を刺激して、自律神経のバランスを整えることができると言われています。

身体の不調は身体的なものも、精神的なものも、自ら(水から)治すことが出来るのです。

⑥朝日を浴びてみよう

鬱状態が進行してくると、人は外に出たくなくなってしまいます。ドアを閉めて陽の光を浴びることすらできなくなって来てしまいます。

人は、雨の日が続くとなんかどんよりとした気分になって来ますが、これは陽の光を浴びていない事の表れと言えます。

幸せホルモンのセロトニンは、陽の光を浴びることによって増幅されますので、朝の最も空気の澄んでいる時に外に出て、朝陽を浴びながら散歩をされるとセロトニンの増幅がより期待できます。

⑦意識的に運動をしてみましょう

私たち人間の健康的な生活の三原則は、睡眠・食事・運動です。⑥でも少し触れましたが、朝のお散歩はセロトニンをたくさん出す上でも、とても効果的な行動ですが、朝でなくても運動をする事は健康的な疲労感を生み、心地よい睡眠を促す事も出来ます。
睡眠不足になっている習慣を、少しでも軌道修正をする事が出来れば、より健康的な生活に近づいていけると思います。

朝散歩に止まらず、お母さんの好きな運動・スポーツが有れば、子どもを預けられる機会を持つ事が出来たら、是非行動に起こして頂きたいと思います。
「運は動より生ずる」と言う言葉がある様に、体を動かす事は、自らの運を切り拓いて行くきっかけになるはずです。

⑧ご飯はよく噛んで食べてみましょう

ワンオペ育児により余裕がなくなってくると、自分の食事もまともにゆっくりと食べることもできなくなってしまいます。
子どもの事が気になり、食事もよく噛まないで飲み込んでしまう事もあるかも知れません。

意外に知られていない事なのですが、食べる時に良く咀嚼する事はとても大切な事で、咀嚼はセロトニンの分泌を促し、唾液をたくさん出す事により消化を助け、胃腸の負担を軽減させる事が出来るのです。

⑨腸活はセロトニンの生成の重要ポイント

腸は第二の脳と呼ばれている事をご存知でしょうか?
実のところ、幸せホルモンのセロトニンの分泌は、脳ではなく腸で分泌される量の方が多いと言われています。
鬱状態になっている人の腸内環境を調べてみると、腸内の善玉菌の数が減っている事が分かって来ています。
ですから、腸内環境を良くする為の腸活は、セロトニンの分泌をよくする為にもとても重要な事なのです。

良く言われている腸活には、発酵食品を食べたり、水溶性食物繊維を摂る事などバランスのとれた食事習慣が勧められていますが、ワンオペ育児をしているお母さんにそんな余裕はなかなか生まれて来ませんので、思いの片隅に意識しておいて頂き、先ずは⑧の咀嚼に意識を注いで頂く事をお勧めしたいと思います。

※以上、今日は脳科学的な観点から、自律神経を整え、ストレスホルモンから幸せホルモンの分泌を優位にさせるテクニックを紹介させて頂きました。
これらの知識は、知る事によって落ち込んだ気持ちを切り替えるきっかけになることは出来ますが、苦しみの渦中にある時は、いざ始めようとしてもなかなか身体が動かないものです。

こんな時には、前回もお勧めいたしましたが、一度心の専門家に相談されて、あなたに合った解決方法を一緒に探してもらえると、無理なく進められるのではないかと思います。

今の自分を受け入れて、自己肯定感を上げるワークをしてみよう

ワンオペ育児で苦しんでいる状態から、自分の思いを吐き出して、上記のいくつかの方法により気持ちが少しでも上向きになって来たら、次のステップに行く事が出来ます。

先ほども書きましたが、ワンオペ育児により鬱状態に陥ってしまうお母さんの特徴は、とても真面目で「子どものために!」と言う思いが強く、それでいてお母さんご自身の「自己肯定感」が低い傾向があります。
このような傾向をお持ちのお母さんのためには、お母さんご自身の自己肯定感を高めていく事が、次のステップと言えるかも知れません。

以下は、お母さんの自己肯定感を高めていくための、ちょっとしたアイディアをご紹介していきたいと思います。

①先ずはお母さんの時間を確保しよう

その為には、子育てから離れて自分自身と対峙出来る時間が必要となりますので、地域の一時利用などが出来る保育所を探したり、ベビーシッターにお願いする必要がありますが、その辺りはご主人にお願いして当面の費用を工面して貰いましょう!

②そして自分自身にお疲れ様をしましょう

これは本来、いの一番にやらなければならない事ですが、真面目なお母さんは子どもや家族の必要を先に考えてしまいます。
自分の必要を先にしてしまうと、何だか後ろめたさを感じてしまうので、自分の息抜きをどうしても後回しにしてしまう傾向があるのです。

ワンオペ育児をしていると、睡眠時間が取れない!ご飯がゆっくり食べられない!お風呂もゆっくり入れない!状況が続きますので、最低この3つは「自分自身にお疲れさん!」を言って満たしてあげましょう!

先ずは、美味しいご飯をゆっくり食べて、もしご自宅の近くにスパハウスなどがあったら、ゆっくり足を伸ばしてお風呂に浸かり、帰ってから贅沢にお昼寝しちゃいましょうね。

自分に向かって、「今までよく頑張ったね!」と言って、ご褒美をあげるのです。

③コンビニでスイーツを爆買いする

貴方は、甘いものが好きですか?
ちょっと罪悪感があるけれど、コンビニで甘いものを爆買いしてパクつくのも、なんかウキウキしてきて幸せ気分にさせてくれる良い方法です。

人はストレスが過剰に加わると、生理的な欲求にも支障が表れて来てしまうものです。
過食症や拒食症など、極端な食事の偏食が出て来てしまったら要注意ですが、前項でも述べましたが、今までよく頑張ったね!と言う気持ちを込めて、自分へのご褒美をあげてください。

真面目すぎる傾向がある人は、こん細やかな贅沢すらも出来ずに苦しんでいる人もいるんです。こんな人にはこのプチ贅沢は、とても効果的な方法ですので、是非試してくださいね。

④プチ旅行に出てみよう

「②自分自身にお疲れ様をしましょう」をさらに発展させて、命の洗濯をする方法として、プチ旅行を計画してみるのはいかがでしょうか?
地域の一時利用が出来る保育所へ、子どもを1日預けて日帰り旅行を楽しむのです。
はじめはパックの日帰り温泉やバスツアーでも良いですし、自分で計画できる様になったらウキウキして来て、育児ストレスなんて何処かへ行ってしまうかも知れませんね。

人の脳は真面目な事ばかり考えると、人生が詰まらなくなってしまう傾向があるみたいです。
ちょっと罪悪感がある様な事を考えると、何故か心がウキウキして来て生きる力が出てくるのは、私だけでしょうか?

⑤ミラーワークに挑戦してみましょう

自分に向かってご褒美をあげると、ちょっと心に余裕が生まれたりします。
保育所の一時利用から子どもを迎えて、子どもが泣いて抱きついてくると、なんだかとっても愛おしく見えて来たりもします。
その後はたっぷりと甘えさせてあげましょう!
心も身体も少し余裕が出来てくると、子どもを見る目が驚くほど変わってくる事を感じられるかも知れません。

お母さんの心が、この状態まで上がって来たら、新しいワークにチャレンジしてみるのは如何でしょうか?

子どもが眠りに着いてご自身も休まれる前に、歯を磨くために洗面所の鏡の前に立たれると思います。
この時に是非、自分自身の顔を見て・・・
「良く頑張っているね」
「1日お疲れ様でした!」
「私はあなたのことが大好き」
「貴方ってすごい、偉い」
と自分自身の事をいっぱい褒めてあげてください。
慣れないとなかなか出来ないワークですが、このワークを鏡に立つ時に毎回やり続けると、段々お母さんの自己肯定感が上がってくる事を感じられますよ。

⑥ダメの壁をブチ破る

人によっては、⑤のミラーワークがどうしても出来ないと言う人もいます。
「自分を褒めるなんて、とっても出来ない」と言う人もたくさんいますから、出来ない自分を責めなくでも大丈夫です。
個性はそれぞれですから、色々試してみて今の自分に合ったものを見付けましょう!

これは先ほどの深呼吸の効果にも通じますが、ストレスが溜まってくると呼吸が浅く小さくなってしまいますので、そんな方は「カラオケに行って大声で歌う」と言う方法をやってみることをお勧めしたいと思います。

カラオケルームは、防音設備バッチリですから、何を言っても叫んでも憚る者はいません。
自分の嫌なところがあったら、歌の合間に「○○のバカやろ〜!」何て叫んじゃっても良いかも知れません。
自分自身のダメを感じているところがあったならば、「私の○○なところがダメ〜!」と思いっきり絶叫しても良いと思います。

自分自身のダメを感じているところがあったならば、そんな自分を丸のまま認めて叫んで、ダメの壁をぶち破ってみましょう!

⑦今の私が100点満点!と言ってみましょう

人の自己肯定感を押し下げるものは何でしょうか?
それは、実は自分自身の劣等感にあるのです。

この劣等感、実は自分の幼児期に親や周りから植え付けられてしまったもので、貴方自身には何の原因も責任も無いものなのです。
これはインナーチャイルドとも言われおり全くの幻想で、事実とは全く関係のない思い込みに過ぎないものなのです。

人の存在に優劣などは有りません。
善悪すらありません。

有るのは貴方の、全ての人の、今ここに生きていると言う事の「存在」そのものの価値が100点満点である。と言う存在の価値があるだけです。

他と比較してはいけません!
貴方は貴方の、子どもは子どもの今この瞬間の存在そのものに100点満点の価値がある事を認めてください。

そして、「今の私が100点満点」と何回も叫んでください。

⑧子どもと無邪気になって遊んで、寝る前に子どもに感謝の言葉を伝える

自分自身にご褒美をあげて、ちょっと罪悪感を感じたら、保育所から帰った子どもをたくさん抱きしめて、愛情表現を表しましょう!

そして一緒にお風呂に入って、スキンシップもたくさんとって、大好きな気持ちを表情と言葉で表したいと思います。

そしてお風呂あがりに、身体を使って無邪気に遊びましょう!子どもは一緒に遊んでくれるお母さんが大好きになります。

お母さんも子どもの心からの笑い顔に出会えると、心が癒されるに違いありません。
子どもと一緒に思いっきり体を動かして、疲れ果てて休みましょう!

一緒に添い寝して、「大好きだよ」「愛してるよ」「私の宝物」「生まれて来てくれてありがとう」と感謝の言葉をたくさん投げかけて、子どもの安らかな寝顔を見てみましょう・・・

きっと、幸せって思えてくるはずです。

⑨寝る前に楽しかった事、感謝できる事を3つづつノートに書いてみる

休む時、子どもと一緒に寝落ちしても全く良いのですが、お母さんにまだ余力が残っていたら、寝る前に今日の1日を振り返って、プチ日記を付けてみることをお勧めしたいと思います。

今日一日、楽しかった事を3つ、そして感謝できる事を3つだけ書いてみましょう。
いえ、はじめは一つだけでも構いません。

周りに対する感謝の言葉は、お母さんの自己肯定感を高めてくれる最高の言葉となってくれる事でしょう。