こんにちは!Agapeメンタルヘルスラボリン事務局の木原です。

先週は子ども4人中3人が熱を出しダウン。みんなそれぞれ機嫌が悪く、泣いたり叫んだりイライラしてたり。しかし私にも仕事がある、私は一人しかいない!どうしよう!ストレスの限界ー!!

ここで役に立ちました、ストレスコーピング
保育心理カウンセラーの2日目に学んだストレスと上手く付き合う方法です。

そして、自分の自動思考が「他人否定」である事も思い知らされました(^^;
頭の中で思いっきり主人の否定をしまくっていました。
自分を知る事って本当に面白いですね!

前置きが長くなりすみません。

先日行われた、保育心理カウンセラー【第4日目】のレポートをしていきたいと思います。

今回の講座は「子ども理解」の2日目なります。主に「生活指導の在り方」と「主体性保育」について取り上げます。

前回までの振り返り…

5月に行われた2回の講座は「自己理解(自己の再発見)」をテーマに、保育現場における様々な対人関係で(同僚・上司・子ども・保護者・役所の職員etc…)必ず生じる問題の対処法、解決策を学びました。

自分という人間を見つめ、そして気づき心の土台を作る所からスタートしました。
次にカウセリングテクニックの【来談者中心療法(傾聴法)】を学び実践研修を行いました。
また自分自身にストレスが加わった時の対処法【ストレスコーピング】(ストレスとうまく付き合うテクニック)を学びました。

そして【リフレーミング法】と【アサーショントレーニング】により、日常の対人関係場面での「上手な主張の仕方」と、人間関係能力を高めていく「自己表現のトレーニング」を行いました。

そして前回が、【子ども理解】の1日目。
保育所保育指針を主軸に、保育心理と子ども理解について学びました。
【ひそひそ面談法】の手法と実践をし、子どもにストレスが加わった時、保育者はどの様に子どもとってより良い「自立支援」ができるかを学びました。
そして、【5つの“みる”と3つの“きく”】で子どもの心をよーく探る事で、保育者は子ども達にとって1番影響のある人的環境として、ふさわしい行動で子どもたちが自立していく方向に導いてあげる手助けができる事を学びました。

以上を理解した上で、【各年齢児における保育心理】を考えていきました。
本当の意味での子ども理解とはなんでしょうか?
それは大人の目線からの「子どもは〜だから〜な支援をしましょう」と上からの立場で考えるのではなく、保育者が「子どもってこんな時何を考えているんだろう」「何を求めているんだろう」「何がしたいんだろう」って子どもからの目線で考えて行くと、一方通行にならずにより良いアウトプットをしてあげられるのではないでしょうか。

上からの立場でしか考えられていないと、本当の意味での「子ども理解」は出来ませんよね。

そして、保育の原点「愛着関係」の重要性、「第一次反抗期」の考察、子どもの「集団との関わり」、「異年齢児保育」の保育心理について、ワークを交えつつ、意見交換や困った体験談などをディスカッションしながら考えていきました。

ここまでが、前回までの簡単な振り返りです。

私の2週間…

恒例、私の2週間コーナー!
前回の講座を受けてから2週間、自分自身の変化や出来事、そして宿題の感想を発表していただきます。
前回の宿題は

  1. 子どもが泣いている保育現場でひそひそ面談法の実践
  2. 噛みつき・引っ掻き事故をどう考えるか
  3. 同年齢保育と異年齢保育の違い

こちらを実践してみた感想と、自分自身の考えを文章にしてアウトプットしてきていただきました。

私の2週間と共に「ひそひそ面談法」の実践をしてみた感想を皆さんに発表していただきました。

ひそひそ面談法は、子ども同士の対人関係でストレスが加わり、泣いている子どもを優しく包み込んで、耳元で子どもにとって心地の良い言葉を投げかけ、自立支援をしていくというものです。

実践した中で、泣いている子が問題の原因だったとしても、その子気持ちに共感し「先生はあなたの味方だよ!」「先生を頼ってくれてありがとう」「あなたを信じているよ」「安心して」と言った言葉を投げかけると、子どもはとても良い顔をしたという実践例がありました。
素敵ですね。
とてもほっこりしました。

うまく出来なくて、私のした事は意味があったのかな?と言う先生もおられましたが、安心してください。
先生が自分を守ってくれようとした、信じてくれようとしたって気持ちは必ず子どもに伝わっています。
誰でも最初から完璧にはできません。
やりながらコツを掴んで行けたらいいなと思います。

単位10:生活指導の在り方・価値観を考える

生活指導の在り方に関する保育者の考え方は様々です。

食事についても、午睡についても、お散歩についても、考え方価値観はそれぞれ違います。

しかし、基盤が揃っていないと「保育観のズレ」から心のわだかまりになってしまいます。

「生活指導の在り方」を考えて行く上で、保育園の理念や自分の価値観うんぬんの前に、今まで伝統として当たり前の様に行われて来た事は、保育所保育指針(法律)に沿っているのかを学び、今まで当たり前として行って来た事を一度白紙に戻して「当たり前を見直す」というものを提案していきます。

では、まず子ども理解をしていく上で、子どもの本質を考えていきましょう。

子どもの本質とは?

子ども本質ってなんだと思いますか?
保育者さんは大きく頷いていただけると思います。
それは、K.K.U.Wです。

K(危険)
K(汚い)
U(うるさい)
W(わがまま)

如何でしょうか。
これって普通ですよね。

わざわざ危ない事をするし、汚くても気にしない、ギャーギャー泣いてバタバタ走ってうるさいし、そして何より子どもはわがままですよね。

しかし、よく胸に手を当てて考えてみてください。
このK.K.U.Wをなくす事が、生活指導であり躾であると考えている大人が多いと感じませんか?

では、保育者の生活指導における「価値観の違い」について考えていきましょう。

どんな具体的な価値観の違いがあるかをグループに分かれディスカッションしました。

★危ない事をしていたら最悪の事態を想像してしまい、やらせない様にすると言う先生もいれば、なんでも経験だ!と見守る先生もいる。
★給食を残さないで食べるのは作ってくれた方への礼儀だから頑張って食べさせたいという先生もいれば、まずは食べることを楽しいものにしてあげたいから頑張らせるなんて必要ないという先生もいる。
★集団生活だから一人だけ別行動をしたいなんてわがままは言わせていたらキリがないという先生もいれば、子どもの意思を尊重してあげたいという先生もいる。

価値観は本当に様々ですよね。

しかしこのそれぞれの価値観で行われている保育は、保育所保育指針に沿っているのでしょうか?

食事・睡眠・排泄の在り方を考える

では、生活指導の基本3つ「K.N.T」を保育所保育指針と照らし合わせて考えていきましょう。

K(食う)N(寝る)T(垂れる)です(笑)

K(食う) 食事の在り方を考える

子どもの好き嫌いについて

大人は子どものためを思い、なるべく早くから好き嫌いを無くしてあげよう、頑張ります。
好き嫌いが多いと悩みます。
そして色々なノウハウを調べて実践しています。
嫌いな物でも一口は食べないとデザートが食べられないから無理にでも食べさせるという園もある様です。

では、国が出している食に関する指針を見てみましょう。

厚生労働省【食育に関する指針】
1.お腹の空くリズムが持てる子
2.食べたい物、好きな物が増える子ども
3.一緒に食べたい人がいる子ども
4.食事作り、準備に関わる子ども
5.食べたい物を話題にする子ども

この指針によると、子どもの好き嫌いを無くそうとか、嫌いな物でも一口でも必ず食べようとは書かれていないですね。

ここで分かったのは、好き嫌いをなくしてあげる事が保育士の仕事ではないということです。

でも保育者はなるべく好き嫌いをなくしてあげたいと思うし、嫌いな物でも一口は食べてみて欲しいと思います。
これをおこなう上で保育者が理解しておかなければならない事があります。
それは、「なぜ、子どもは好き嫌いが多いのか」という科学的な根底の部分です。

子どもは舌の味を感じるツボ(味蕾)がとても敏感で数が多いんだそうです。
舌で感じた苦い物や、エグ味みたいな物は毒、酸っぱい物は腐敗物だと脳が感じるんです。
苦味や酸っぱい物を敏感に感じ嫌うのは、本能的に自分を守る為なのだそうです。

1〜2歳を過ぎるといきなり好き嫌いが増えたりしますよね。
離乳食ではモリモリなんでも食べてくれていたのにいきなり白いご飯しか食べなくなった、、なんて事もよく聞きます。
それは、味蕾が急激に発達した証拠なんです。
ですから通常の発達過程であり、悩める事でも何でもないんですよね。

では、人は食に対してどんな風な見方をするのでしょうか?

私たちは食事をする時、一緒に食べる人や、文化、環境などを大切にします。
と言う事は、子ども(人)は食べ物を「心」で食べていると言えます。

嫌いな物を食べてくれる効果的な声掛け!とか、こうやったら食べた!とかノウハウで無理して食べさせる物ではないんですね。

講師が一番主張していたのは、本当に食べられない子の横で、嫌いな物を一口食べられた子に「偉い!かっこいい!すごい!」
なんて大袈裟に大きな声で褒めたら、横で見ていた本当に食べられない子はどう感じるでしょうか?
食に限った事ではないですが、もう自己肯定感爆下がりですよね。

嫌いでも飲み込んでいるのは大人の思いを飲み込んでいるのだと、有名な保育研究者の井桁容子さんは言います。

ゆっくりと楽しいおいしい体験と共にセキュリティを少しずつ外していってあげると良いということです。

食卓の楽しさが味蕾を広げてくれるのかもしれません。

ですから我々保育者は、いかにして食べさせるか、礼儀正しく食べさせるかに縛られるのではなく、いかにして楽しく食べられる環境を作っていけるかを頭にいれておくべきではないかと思います。

N(寝る)睡眠 午睡の在り方

次に午睡について考えていきます。

この「午睡」という言葉、保育所保育指針には平成29年の改定で初めて出てきた言葉です。
それまでは、「休息」という言葉で記されていました。

まず保育所保育指針になんと書かれているか見ていきましょう。

『午睡は生活のリズムを構成する重要な要素であり、安心して眠ることのできる安全な睡眠環境を確保するとともに、在園時間が異なることや、睡眠時間は子どもの発達の状況や個人によって差があることから、一律とならないよう配慮すること』

この様に書かれています。

前提として、「一人一人の生活リズムに合わせて」「一律にならない様」注意しなければならないという事が分かります。

乳児保育におけるねらい及び内容には
「一人一人の生活のリズムに応じて、安全な環境の下で十分に午睡をする」

1歳児以上3歳児未満の保育に関するねらい及び内容には、
「食事・排泄・睡眠・衣類の着脱、身の回りを清潔にする事など、生活に必要な基本的な習慣については、一人一人の状態に応じ、落ち着いた雰囲気の中で行う様にし、子どもが自分でしようとする気持ちを尊重すること。また基本的生活習慣の形成にあたっては、家庭での生活経験に配慮し家庭との適切な連携のもと行う様にする事」
と書かれています。

では睡眠に対する基本的な考え方を紹介します。
保育士という専門的な立場の人間は、生理学的な脳と体の理解は知っておきたいものです。

1.睡眠は人間が生きていく上でとても重要なものである
→なぜですか?
それは自律神経のバランスを取る為です。
起きている時は交感神経優位になり寝ている時は副交感神経が優位になります。そのバランスがとても重要です。
バランスが悪いと自律神経失調症になってしまう事もあります。
睡眠は脳を休め、脳の中にある老廃物を除去するために重要な生理的現象なんです。
ですからこの睡眠を確保するのはとても重要だということを前提に考えます。

2.睡眠は一人一人個体差があるものである
寝付きが悪い子、寝起きが悪い子は必ずいます。そういう子って自律神経の切り替えが下手っぴなんです。
またピタッと寝てしまう子もいますね。
発達障害の子は自律神経の切り替えが上手くいかない子が多いですね。
どちらがいい子、悪い子ではなくて、その一人一人の個体差に合った午睡計画が必要だと言えます。

この様な睡眠の個性を尊重していく上で最も重要なことは、
3.夜の睡眠を確保する事である
午睡はあくまでも『休息』であり、夜の睡眠を確保する為のものです。
その為には昼間の過ごし方が重要であり、その中の一つが『午睡』であるという事です。

午睡の重要ポイントです。

✔️一人一人の午睡計画が立てられているか
何歳までは寝かしつけをするべき、何歳までは午睡が必要だと、個人的な思いと価値観で決めつけてはないでしょうか?

✔️一人一人がしようとする気持ちを尊重できているか
したくないのに一律だからとさせる、またはしたいのにまだご飯を食べていないからさせない、なんて事が続けば子どもの心は壊れます。
そんな事をしていたら保育所として本末転倒になっていまいますね。

✔️親の言いなりになっていないか
これは結構ある事ではないでしょうか?
もちろんのこと、家庭との連携のもと午睡の計画を立てて行くのですが、それが親の都合だけで、子どもはまだ寝たいのに30分で切り上げで欲しいとか、全然眠たくないのに絶対寝かせて欲しいと言われたり、、我々が考えなければいけないのは、親の機嫌取りではなく、子どもにとっての最善の利益ですね。

✔️午睡が保育者の都合で行われていないか
これはとても胸が痛くなる所ですね。先生にだってやる事が沢山あります。保育計画だって立てなきゃいけないし連絡帳もミーティングも、休憩も回していかなきゃいけない。
分かってはいるが、せざるを得ない状況だから一斉午睡をしている、という所はまだまだ多い様です。

T(垂れる)排泄 トイレトレーニングの在り方

次に排泄について考えていきます。

トイレトレーニングの進め方の情報交換をしました。

適切な年齢なるとしたいしたくないに関わらずとりあえず座る練習から始めるという園や、一歳になる頃から座らせてみて出来ると褒めてあげるという事を繰り返し行なっていくという園もあったり、そもそもトイトレはやらないという園もありました。

トイトレの進め方も様々です。

保育所保育指針の7ページ、養護に関する基本的事項には、基本的な生活習慣を整える事について「子どもが意欲的に生活出来る様に適切に援助する」とあります。

1.2歳児に関わるねらい及び内容には
「一人一人の排尿間隔を踏まえ、オムツが濡れていない時に座らせるなどにより、少しずつ慣れさせる様にする事」
「子どもがしようとする気持ちを尊重」
「家庭との適切な連携のもとおこなう」
とあります。

保育所保育指針を踏まえた上でトイトレの基本原則を見ていきましょう。

1.子どもの成長にはすべて個体差がある
神経と下がつながらなければトイレトレーニングは成功しませんね。
繋がる時期はそれぞれ違います。
まだ早い段階で始めると失敗が多くなります。すると大人はあーまた失敗また失敗と「がっかりした顔」をしてしまいます。
すると、子どもに「劣等感」を植え付けてしまうんですね。
先程の食事の時と同様、出来た子に対して「すごーい!」「かっこいー!」「えらーい!」と大袈裟に大きな声で褒めていたら、褒められている子は嬉しいですが、横で聞いている出来ない子はどう感じるでしょうか?
トイレトレーニングは比較したり一律にしたりしてはいけないと言えます。

2.自分でしようとする気持ちを尊重しているか
3.家庭との連携が取れているか
トイトレのリーダーシップは家庭にある方が望ましいと言えます。
しかし色々な家庭があります。
育児を苦手とする家庭もあるし、育児が初めての家庭もある、だから保育所にお任せします、という親も結構います。
しかしこれは、今の子どもが自立していけない要因の一つになっている様です。
育児の伝承がなかったり、親自身が一人っ子だったり、周りに仲間がいなくて知識量が少なかったり、知識が育児本やSNSだけだったり、親自身の「親力」がない家庭が増えているんですね。
ですから、沢山失敗したり落ち込んだりします。でも失敗しても少しずつ成功して子どもと一緒に成長する親を、保育士は励ましながら寄り添い、母親自身の「母親力」というものをつけて行ってあげる事が大切なんです。
それが保育者としての子育て支援なんです。

家庭でできないから保育所が代行する事ではないのではないかと考えます。

トイレトレーニングは子ども一人一人の発達段階を見極めた上でおこなって行く事が重要なポイントです。
本人に出たっていう「感覚」がなかったり(神経と下が繋がっていない)、言葉で「自己表現」が出来ていなければトイトレはとてもじゃないけど、苦しいものになってしまいますよね。

行列に並ばせてお互いに無理して行うものなのなのでしょうか。
先程も出てきましたが、できない子の前でできる子を褒めたり比べさせたりするものなのでしょうか。

K.N.T(食う寝る垂れる)食事、睡眠、排泄のあり方を保育所保育指針と発達心理を照らし合わせて考えていきましたが、いかがだったでしょうか?

では次に進みます。

育てにくい子とどう付き合うか?

・第一次反抗期の子どもへの対応
・障害を持った子どもへの対応
こちらはグループに分かれて討議していきました。

第一次反抗期の子ども、育てにくい子、障害を持った子どもは、我々保育者の言葉をどう思いどう感じているのか?

「育てにくい子」というのは、我々大人からみた見方です。

一人でずっと遊んでいる、切り替えが出来ない、おもちゃを片付けない、お友達を突き飛ばす、モノを奪う、噛みつく、引っ掻く、大声を出す、モノを投げる、高い所によじ登る、眠れない、起きれない、、

「子ども理解」で何度も出てくる「個体差は全て100%違う」ということを念頭に、その問題とされる子どもを「一人一人違う個体差のある子ども」と見れば何の問題もないんですよね。

実は子どもから見ればなんの問題もない事が結構あるんです。
子どもからしたら「ふつう」だし当たり前だし、個体差のある「一人間」です。
親がやたらと心配している、保育所が間違いなく発達障害だからと発達支援に仕向けていくというのはあくまでも大人目線の考えです。

我々保育者は、健常な子どもであっても、障害を持っていていようが、扱いにくいと感じる子どもであろうが、全ての子にとって最善の利益となる保育をしていかなければならないんです。

では、我々保育者の役割とは何でしょうか。
トラブルをなくす事でしょうか?
できない事をできる様に仕向けていくくとでしょうか?

子どもの目線、子どもの立場、子どもの理解という視点に立ち、グループ討論をして考えていきました。

では、子ども一人一人の最善の利益となる保育について考えていきましょう。

単位11:主体性保育を考える

新保育所保育指針は、何を大切にしているのでしょうか?
幼児期の終わりまでに育って欲しい10の姿というものが出されましたね。
その根幹をなすモノが「主体性」です。
主体性は、「非認知能力」の中の一つですね。

では、そもそも「主体性保育」というものはどうゆうモノなのか?という事を学んでいきます。
今は沢山の学者さんや専門家さん達が「主体性保育」についての色々な論文を出していますが、この講座でお話しする「主体性保育」は講師の50年の教育人生の中で実際に実践してきたことが中心となっています。

ではまず、保育者が抑えておきたい事は何でしょうか。
それは、子ども目線の遊びについてです。

子どもの遊びは2つに分けられますね。
「全身運動」優位、「知能・指先」優位の遊びです。
活動と休息を繰り返しています。
全身運動をして疲れたら、ゆっくりブロックで遊んだり、ご飯を食べて眠たくなって寝たらまた元気になって、また体を動かして遊びたくなります。
子どもは走りたいのに、知育遊びを提案しても子どもからしたらそれは遊びではなくなっちゃいますね。

子どもは遊び方が変容していく事により、成長発達していきます。(レジュメ参照)

誕生してから自立するまでに、子どもは遊び続けます
最終的に集団遊びをする様になるけど、応答遊びはずっと好きですし、探索遊びは大人も大好きですね。
そして自我が出始めると、ごっこ遊びが楽しくなってきますね!さらに言葉の交流ができる様になると、徐々に集団に入っていく様になりますね。
この発達成長は、心身の成長と伴っていますね。

次に保育所保育指針は、遊びに対してどう見ているのかみていきましょう。

新保育所保育指針が目指す保育方針とはなんでしょう。

要点は3つです。

1.養護の重視
2.一人一人の人格の尊重
3.生きる力人間力の向上

養護という事をとても重要視しています。「養護」については、もともと3章にあったのですが「総則」に移動しています。生活習慣や、親とのコミュニケーション、社会とのコミュニケーションについても、相応しい養護を受けて、相応しい人権ある子育てをされると言うことが難しくなってきている現状があるので、保育所が充分に養護された環境の中で保育をして欲しいという事です。

また、集団ではなくて「一人一人」を大切にしてくださいと至る所にかかれていますね。
一対一ではなく、一人一人です。

そして生きる力の向上です。

では、この3つを支える言葉のキーワードをまとめてみました。

新保育所保育指針のキーワードを3つあげます。
1.一人一人(個を尊重)
2.主体性(しようとする気持ちの尊重)
3.気づき→至る所に出てくる言葉

子ども理解で何度も話している、「個の尊重」と「自分でしようとする気持ち」という言葉です。
また気づきという言葉が至る所にでてきます。
人との様々な関わり方に気づきとか、生命の尊さに気づく事や、自分と異なる考えがある事に気づきとか、それぞれモノの役割に気づく、とか幾度も出てきますのでぜひ見返してみてください。
ここで我々の保育を通して子ども達にいろいろな事に気づいてもらいたいんだなという事がわかりました。

主体性保育の勘違い

まず、主体性と自主性の違いについてみていきましょう。
【主体性】
「自分できめて行動すること」
【自主性】
「決まった目的に向かって行動すること」

野球で例えるなら、
少年野球チームに入って、チームの一員として優勝という目標に向かい頑張って練習していく事を、「自主性」
休みの日に、明日野球やろうぜ!といって、みんなを誘いリーダーシップをとってチームを作り、野球をする。これは「主体性」ですね。

保育現場で例えるならあなたはこんな場面で、どの様な働きかけをしますか?

お外遊びに出掛ける時間です。
集団活動をしたくない!と言っていつまでたってもブロックで遊んでいる子どもがいるとします。
そんな時、主体性を促すためにはどの様な働きかけをしますか?

行きたくない!と言われた時に、

「楽しいから行ってみようよ」
「先生と手を繋いで行かない?」

これは、自主性を促している働きかけですね。

「そうか、行きたくないんだね」「じゃあ他にやりたい事ある?」
これが主体性を促す働きかけですね。

保育所保育指針は主体性を促す働きかけを推奨していますが、自主性と主体性を勘違いしている方が結構多いんです。(国の機関の方も間違った解釈をしていた様です)

この場合「自主性」が悪い「主体性」が良いというわけではなく、主体性を育むと言われているのに、自主性を促していたら、主体性は育たないですよねという事です。

主体性自主性について自由に討議していただきました。

・決められた環境(保育園)で自分がやりたい事を主張しても環境が決まっているから、そもそも主体性にはならないのか?
・主体性って日本人からしたらちょっとマイナスなイメージになりやすい
・主体性ってわがままを助長しているだけでは?
・主体性は起業家タイプで自主性は会社員タイプという考え方はどうなの?
・従業員はずっと雇われているから自分で行動しても主体的ではないのか?

という面白い興味深い話題が出てきましたよ!

では、もっと深く主体性保育について考え、落とし込んでいきたいと思います。

主体性保育の重大要素

①自由でなければ遊びではない
自由な環境があって初めて主体的な遊びが生まれます。
②時間がないと遊びが継続できない
主体的な遊びが始まっても、時間時間できってしまったら遊び込むことができません。
ですから、自由であるのと同時に時間を保障してあげます。
③失敗体験がないと遊びからの気づきが得られない
特に男の子はよく失敗をしたがりますね。子どもが失敗しない様に辞めさせたり先回りをしてしまえば気づきや学びは得られませんね。

主体性保育を実現するためにはこの三つ「自由」「時間」「失敗体験」が全部揃う事が重要であると講師はいいます。

特に女性は、なるべくなら失敗しさせないで、成功への道を歩んで欲しいと思っています。
「それやったら痛いよ」「そこ登ったら危ないよ」って先回りして教えちゃいます。
何故か、一般的に女性は小さい頃から危ない痛い経験が少ないので、男の子の特質がなかなか理解できないんです。

男性保育士は女性保育士から比べるとこの辺りが大雑把です。
なぜなら自分も経験しているからなんですね。

男と女の特質の違いですね。

この重大要素についてそれぞれの思いの丈を討議していきました。

・危ない事をしていると最悪な事態を予想してしまって辞めさせてしまう
・自由は尊重できても集団生活の中では、時間を確保してあげるのが難しい
・怪我をしてしまった時、親に謝ったり説明したりする時に、なぜ失敗が必要なのかを理解をしてもらえる様にしていきたい

という話題が上がりました。

ここでファーブル昆虫記のファーブルちゃんの幼少期の話がなされました。

ファーブルちゃんの母は、夢中になって虫を観察し続ける息子を温かく見守り続けた。後に昆虫博士となる。

主体性の尊重から生まれる遊びの変容というものがあります。

①遊びはじめ
まず子どもが主体的に関われる様な「興味深い、魅力的な環境」を構成してあげる必要がありますね。
楽しそうな環境があれば主体的な関わりが生まれてきますね。
②遊び込み
どれだけ興味深い遊びに「集中」させてあげられるか、どこで「時間」を確保してあげられるかが要です。
③遊び切り
遊びを阻害するルールがないか、ルールが多いと「遊び切る」ことはできません。

子どもは集中して遊んでいると「失敗」「工夫」を繰り返します。そして3歳前後になると、「協同性」が生まれてくるので、集団遊びの中でまた失敗と工夫を繰り返します。
これを何度も何度も繰り返すことが出来て初めて目的を達成できます。(PDCA)

ここで何点かご質問が出ました。

・環境を最初から設定していたらそれは主体的な関わりにならないのでは?

・異年齢保育で5歳児のおもちゃを3歳児が使いたい場合の環境設定は?

・協同の場面で入れてあげない!という子がいたらどう対応したら良い?

こちらは講師の愉快な体験を交えてご教示がありました。

「主体性保育」の環境を作ってあげることで、子どもはどの様に「非認知能力」を伸ばしていけるのでしょうか。

主体性保育を目指し実行していく上で知っておかなければならない人間の欲求の段階があります。(図参照)

一般的に、したい!という事はやらせてあげるという考えの親や保育士は多いと思います。
しかし、したくない!はどこまで理解して尊重していますか?
生理的欲求で言うならば、寝たい→寝たくない
食べたい→食べたくない、出したい→出したくないなど

ここで「主体性」と「やりたい放題」はどこが違うのか?というテーマでグループ討議をしました。

講師は、主体性というのはあえて育てたり伸ばしたりするものでは無い、と主張します。

摘まない限り生まれながらに持っているものだと言います。
今回学んだKKUW(危険、汚い、うるさい、わがまま)をなるべくやらせてあげる事が出来る環境設定をしてあげると、子どもは自然と主体性が育っていくんです。
途中で引っ張ったり辞めさせたり気を逸らせたりしない限りのびのびと育っていくものだと言います。

単位12:日本の未来を支える保育心理カウンセラー

保育心理カウンセラーのあなたの役割とは?

2日に渡って子ども理解をしていきました。
各年齢による保育心理を学び、さまざまな問題があるという事を学び、そして子どもの能力を引き出していく為の方法を学びました。

さぁ我々は、子どもの未来を担い、日本の未来を支える保育心理カウンセラーとして、日々の保育でなにが出来るでしょうか?

それぞれの思いを自分らしく発表していただきました。

これで4日目子ども理解の講座レポートは終わりです。とても中身の濃い講座だったと感じています。

次回は最後のテーマ【保護者理解】です。

では次回もよろしくお願いします!