早いもので前回の講座からあっという間に2週間が経ち、5月22日(土)に、第2日目となる「保育心理カウンセラー」の4〜6単位目の講座が行われましたので、レポートしていきたいと思います。

保育心理カウンセラーとはどんな資格か?
何のための資格か?
資格の活かし方等の詳しい説明はこちらの記事を読んでください(^^)

保育心理カウンセラーとは? | Agapeメンタルヘルスラボリン (agape-laborin.com)

また第一日目の講座レポートはこちらになります。

保育心理カウンセラー養成講座【第1回】自己の再発見 | Agapeメンタルヘルスラボリン (agape-laborin.com)

オリエンテーションと私の2週間

まずは、前回の講座を受けてから今日までの日常が、どんな2週間であったか?を順番に発表していただきました!
ここでお一人の先生の発表を紹介いたします。

前回の講座を受け、「やりたいという前向きな気持ちと現実のギャップに疲れてしまった」
「自分を見つめて、目を逸らしていた自分に心を向けた事により、ぐったり疲れてしまった」という方が何名かいらっしゃいました。

うんうん、よく分かります!!
自分の全てを受け入れるってとても難し事ですよね。自分の自信のない部分、嫌いな所はなるべく見たくないものです。

またBDIテスト(うつ病テスト)をやってみた結果、自分がちょっとうつ気味であったという方もいらっしゃいました。

前回は「自分の幸せ」「今を生きる」ということにについて考え、カウンセリング手法の傾聴を実践して、自分の悩みを打ち明けて、自分自身を見つめていきましたが、
今回は自分の自動思考(ストレスの原因)について気づき、そのストレスと上手く付き合う方法(ストレスコーピング)の実践と自己カウンセリング法について学びます。
また対人に上手く自分の気持ちを伝える手法(アサーショントレーニング)を実践します。

今回はそんな自己の再発見の核心を突く講座になっています!

講師いわく、今回が一番厳しい内容だと話しておりました。

では覚悟して本題に入っていきましょう。

単位4: ストレス時の自動思考

なぜ人間関係に悩んでしまうのだろう?

どうしてこんな気持ちになるの?

まず保育心理カウンセラーがクライアント(悩みを抱えている保育士、保護者等)の話を聞く上で理解しておかなければならないのが、この「自動思考」です。
このストレス時の自動思考を「スキーマ(不快の源)」と言います。

スキーマには3つのタイプがあります。
あなたはどのタイプでしょうか?

①自分否定
②他人否定
③世の中・社会否定

自分にストレスが加わった時

①の人であれば、自分はなんてダメな人間だ、私が原因でこうなってしまったんだ、、等と自分を責めてしまいます。

②の人であれば、相手の責任だ、あの人が悪い等と相手を責めます。
(一般的にはこの②が一番多いタイプです)

③の人であれば、この会社が悪い、このシステムが悪い等とこの社会を責めたり将来に絶望したりします。

そしてこんな偏った考え方が私たちの思考には存在します。

①全か無かの思考(すぐに白か黒かをつけたがる)
②一般化のしすぎ(1つか2つの事実で全てと決めつける「みんなが〜」)
③選択的な抽出(否定的な事ばかりにフォーカスしてしまう)
④マイナス化思考(良いことまで悪い事にすり替えてしまう)
⑤過大解釈、過小評価(短所を失敗と捉え、長所も否定してしまう「こんな事たいしたことありません」等)
⑥感情的決めつけ(自分の感情が良いか悪いかで評価してしまう)
⑦結論の飛躍(相手の気持ちを深く読みすぎて、結論を早めてしまう)
⑧すべき思考(〜あるべき!〜でなければならないと自分わ追い込んでしまう)
⑨レッテル貼り(②と③が過度になりすぎると自分自身はダメ人間だと決めつけてレッテルを貼ってしまう)
⑩個人化(良くない事を根拠もなく自分のせいにしてしまう)

これらがネガティブな方向に自動思考が向かってしまうと「ストレス」になってしまうということなんです。

この10個の偏りをどの様に変えていく事が出来るのでしょうか?

ここで物理的な幸せの公式をご紹介します。

★幸せの公式
幸せ=規定値(思考習慣)+生活状態(日々の出来事)+自発的活動(行動習慣)

思考習慣=幸福度40%
日々の出来事=幸福度10%
行動習慣=50%

これらが合わさったものが「幸せ」になります。
この公式をみてわかる様に、人間の幸せの90%が「思考」からくる「行動」にかかっているということなんです。

ここで「思考」について深く考えていきます。
有名なマザーテレサの言葉です。

思考に気をつけなさい
 それはいつか言葉になるから

言葉に気をつけなさい
 それはいつか行動になるから

行動に気をつけなさい
 それはいつか習慣になるから

習慣に気をつけなさい
 それはいつか性格になるから

性格に気をつけなさい
 それはいつか運命になるから、、、

マザーテレサ?ブッタ?聖書?エマーソン?ガンジー?

そう、“思考は運命につながる”んですね。

思考には気をつけていかなければならない事がこの名言からもわかります。

しかし、我々人間には自動思考があるんです。
保育士や保護者を援助する上でこの自動思考、自動思考からくる偏った考え方を知っておくという事が大事なんです。

ではここから、その自動思考からくるストレスとの付き合い方を学んでいきます。

単位5: ストレスコーピングの実践

ストレスコーピングとは、個人のストレス対処行動のことです。

まず自分自身がストレスの対応策を知っておきたいものですよね。

ここでストレスと戦うのではなくストレスと上手く付き合う方法を4つご紹介しました。

  1. 自律訓練法
  2. ストレッチ(真向法)
  3. 深呼吸(マインドフルネス・ 呼吸法)
  4. メモ書き法

自律訓練法とは、ドイツの精神科医ヨハネス・ハインリヒ・シュルツによって創始された自己催眠法であり、リラクセーションの技法です。ストレス緩和、心身症、神経症などに効果があるとされています。

ストレッチ法(真向法)とは、長井津さんが創始した、健康法の一種で四つの動作を行うことで姿勢のゆがみを調整し、身体をやわらかくして心と身体の健康を保つストレッチです。

この2つのストレスコーピングについては長くなるので今回は割愛させていただきました。

今回保育士さんにおすすめしたいのが、呼吸法とメモ書き法です。

ストレスコーピングの実践:呼吸法

まずは呼吸法。
この呼吸。私たちはこの世に産まれてから今まで意識せずに呼吸をしています。
心臓の鼓動も腸の動きも胃の働きも全て

私たちの意思とは関係無く勝手に自律神経によって24時間働き続けています。

例えば自分の意識で心臓は止められますか?腸や胃の動きはどうでしょう?
止められませんよね。

でも呼吸はどうでしょう?
なにかストレスが加わった時、人間は自然と呼吸が荒くなります。
そんな時、ちょっと深呼吸してみたり、息を止めてみたりして気持ちを落ちつかせたりします。

そう、この呼吸だけが、唯一人間が自律神経の中で自分でコントロールできるものなのです

自分で呼吸を支配し、自分の意思と自分の意識でコントロールできるのです。 

呼吸法ができると自分で自分の支配者になれるんですね。
ですから、呼吸はとても大切なんです。

こちらはみんなで練習をして、日々の生活の習慣にしてみることをご提案しました。

ストレスコーピングの実践:メモ書き法

そしてメモ書き法。
このメモ書き法は、具体的な方法として一番お勧めできるものです。

例えば、今日の保育でなにか失敗をしてしまい、先輩保育士に怒られたり、嫌味を言われてしまった。また親御さんから責められてしまった。

そんな時、いくら呼吸法を実践してもストレッチをしてみても、美味しいものを食べてみても、嫌な思いが頭の中をグルグルグルグル、、、なかなか寝れない!

そんな経験があると思います。

頭をグルグルしている嫌な気持ちは、外に出さないとずっとモヤモヤ、、それが恨みに変わったり、劣等感を育ててしまったりするんですよね。

そんな時、ぜひ試していただきたいのがこのメモ書き法です。

まずなんでも良いのでペンと紙を用意しましょう。
そして、言われて嫌だった気持ちや自分の感情をその紙に書き出します。
ポイントとしては、文章とかは何も考えずにとりあえず殴り書きをして、頭の中の感情を紙に吐き捨てるという感じです。
どんな順番でもどんな口調でもオッケー!

今日受けた負のインプットを紙の上にアウトプットしちゃうんです。
頭を空っぽにしちゃいましょう。

そうすると、アレ?
びっくりするくらいスッキリしちゃうんです。
個人差は有りますが、是非試してみてくださいね!

今回紹介した方法は一例です。
是非自分に合う方法を見つけていくて良いでしょう。

ロールプレイング: 保育士は誰でもできる仕事か

さぁここで、こんな問題提起をしてみました。
この記事を読んでくださっているあなたはどう考えますか?

保育士は誰でもできる仕事でしょうか?

それぞれグループに分かれてディスカッションしてみました。

保育士の定義とは?

では、保育士の定義はなんでしょうか?

それは保育士の国家資格に合格又は、指定校(保育士養成校)を卒業できて、都道府県の知事に登録した者。

これが保育士の定義です。

ゆうならば資格を取れさえすれば、誰でもなれてしまうわけです。

子育て経験がなくても、どんな経歴の持ち主でも、学生時代どんなに素行の悪かった人であっても、人の悪口を言うのが好きだったり意地悪な性格な人であっても、保育士の試験に合格すれば「保育士」になるんです。

そして保育士は、保育士の名称を用いて、専門知識または技能をもって子どもの保育と保護者へのご指導をおこないます。

そして保育士は、保育所保育指針を守り保育をしていきます。

さあ、あなたはこの保育所保育指針をどれだけ読み込み、保育所保育指針を守れているでしょうか?

保育士はなぜ苦しむのか?

実はこの保育所保育指針と、私たちの思い込みで保育士は苦しみます。

「保育の内容は保育所保育指針に従う」と児童福祉法35条にそう書かれています。

しかし保育所保育指針を読み込みその内容を理解しそれに付き従って保育している園は少ない様です。

その多くは、その人その人の保育観でもって保育が行われています。
そして働いている園の園長先生や主任との保育観の違いに保育士は苦しみます。

そういう現実があるのではないでしょうか?

そして「保育士」は一人で抱えきれるはずのない、責任や仕事を背負わされて悩み、パフォーマンスが落ちます。
パフォーマンスが落ちると人間関係が悪くなり苦しむのです。

人間関係が悪い保育園の保育の質は低下の一途を辿るでしょう。

園長先生や運営者はこの点を理解していなければ「保育の質」はいつまで経っても上がるわけがないんです。

餅屋は餅屋の保育とは?

できないことをできる様に頑張れ!頑張れ!ここまで上がれ、と底上げするのではなく、得意なことを、どんどんやらせてあげれば良いのです。

ピアノが得意な人、工作が得意な人、走ったり力遊びが得意な人、パソコンが得意な人、子どもをまとめるのが得意な人、保護者対応なら任せろとう心強い人、、、

“餅屋は餅屋”

という言葉があります。
どんな保育士でも得意・不得意は当然のことながらあります。

そもそもなんでもできる人間なんてまずいません。

保育士に何でも屋を求めること自体、お門違いといえるでしょう。

運営者はこのポイントを抑えておきたいものです。

好きな事をやらせてあげれば、保育の質は自然と上がるでしょう。
だって「保育士の心からの笑顔が子どもの笑顔」なんですから。
保育所保育指針が示す保育の目標とは、『今を最もよく生きること』です。

ただ“保育をまわす”だけの保育士さんを子どもは望んでいないんです。

あなたの笑顔が一番大事なんですよ』

というロールプレイングを行いました。

単位6: リフレーミング法とアサーショントレーニング

自己の再発見については最後の講義です。

自分を知り、悩みの傾向やコントロールの方法も分かってきました。
では具体的にはどの様に自分をトレーニングしていけばよいのでしょうか?

というのがこの「リフレーミング法」「アサーショントレーニング」です。

リフレーミングとは、ある出来事や物事を、ネガティブな方向でしか見れなかった事を、今の見方と違った見方をすることで、意味を変化させて、 気分・感情を変える事です。

例: 自分は絵が下手で才能がない。子どもに絵を描いてあげたいけど自信がない。
→ 自分の絵はオリジナリティーに溢れていて印象に残りやすい!他の人には真似できない個性だ!

アサーショントレーニングとは、自分の気持ちをはっきり示しつつ、自分と相手の両方の気持ちを大切にした自己表現。
相手への配慮もあり、自他調和を図ったコミュニ ケーションを取るためのトレーニングです。

リフレーミング法の実践

先ずはリフレーミング法のトレーニングです。
2人1組に分かれ、順番に「わたしの短所自己紹介」をします。
そして、相手の短所をリフレーミングして、他己紹介をします。

例: 私の短所はすぐカットなってしまう所なんです。

リフレーミングした他己紹介

→すぐにカッとなってしまうって悩んでるけど、〇〇さんは自分の感情に正直で、その場で解決しようと行動できるから、物事を先延ばしにしなくて仕事がとても正確なんです!

こんな感じでポジティブな表現に言い換えてあげるんです。

これをお互いにやりあう事でリフレーミングを体験します。

うん、褒められるって気持ちいですよね。
だんだんテンションが上がってくる様な気持ちになりますね!

かっこ自分は相手から重要視されているんだっという自己重要感を知り、自分自身が積極的に前向きに生きていこうという道を意識させてあげることができるんです。

さあ、これを前提にアサーショントレーニングに移っていきましょう。

アサーショントレーニングの実践

アサーショントレーニングでは、日常の対人関係場面での「上手な主張の仕方」を学びます。

人間関係能力を高めていく「自己表現」のトレーニングです。

例えば、自分の意見をしっかり示してはいるけど、相手の気持ちを大切にしていなければ「自己中」と思われていまいます。
逆に自分の気持ちはあるけど相手の気持ちばっかり尊重してしまっていたら、自分の意見は無いのかと思われますし、人に振り回されて疲れてしまうかもしれませんね。

「相手への配慮」+「自分の意思の主張」
=自他調和の取れたコミュニケーション
 

これをアサーションといいます。

★アサーショントレーニングの留意点★
①相手の気持ちを深読みしない
②「話さなくても分かる」ことはないと自覚する
③事前に声に出して練習する
④落ち着いて穏やかに話をするように気を付ける
⑤言いたい事を簡潔にまとめる

★アサーションを阻害する自動思考の例★
 ①こんな事を言うと相手が気を悪くするにちがいない
 ②こんな事を言うと嫌われる
 ③相手の希望を叶えないと関係が終わってしまうだろう
 ④相手のことが好きなら意見の相違があってはいけない
 ⑤話さなくても分かってくれるべきだ
 ⑥自分の意見を主張しないと相手にいい様にされてしまう

この点に気をつけながらロールプレイングをしました。

最初は自信のなかった方も最後には堂々と、アサーティブな自分の意見を発表する事が出来る様になりました。

保育者としての使命と覚悟

自己の再発見(自己理解)最後の講義です。

私たちは、保育者になりました。
保育士になると決めた時、皆さんは何かを心に決めてこの道を選びました。

そして、何か任された時、トラブルがあった時、その都度その都度「覚悟」を決めてきました。

自分を変えたい!そう決めこの保育心理カウンセラーの講座に勇気を出して参加を決めた。
これもあなたの心の中に何かを覚悟した結果の行動だったのでは無いでしょうか?

皆さんも少なからず、日本の未来を創るのは私たち保育者なんだという思いで、今この仕事に携わっているのではないでしょうか?

あなたのかけたその一言が、その笑顔で目の前の子どもが将来総理大臣になるかもしれない。
反対に大人になる事に夢や希望を無くしてしまうかもしれません。

私たち人間は、必ず何か使命をもって生まれてきています。
産まれてすぐに死んでしまう赤ちゃんであっても何か使命を持って産まれてきています。

私たちは保育者になった以上、自分自身の使命とは何なのか。という事を常に思いに留めていたいものです。

さあ、あなたの保育士としての覚悟はなんでしょうか?

最後にそれぞれの覚悟を堂々と言い合いました。

「自己の再発見」全12時間6単位
一人間としての自分をみつめ、一保育者としての自分を見つめ直し、一人一人心に何か感じる思いがあったと思います。

これで第2日目の保育心理カウンセラーのレポートは終わりです。

次回は待ちに待った「子ども理解」に移ります。
個人的には一番気になるところでもあります!
では次回の「子ども理解」もまたレポートしますのでお楽しみに!