保育士が知っておきたい自己肯定感と愛着形成の本質
はじめに
「自己肯定感を育てるためには、たくさん褒めることが大切ですよね。」
保育士研修で自己肯定感についてお話しすると、多くの先生方からこのような声をいただきます。
もちろん、子どもの頑張りを認めたり、できたことを褒めたりすることは大切です。
しかし私は、自己肯定感を育てるうえで最も大切なのは、褒めることではなく「受け止めること」だと考えています。
今回は、保育現場でよく混同される「自己肯定感」と「自己効力感」の違い、そして乳幼児期の愛着形成との関係についてお話ししたいと思います。
自己肯定感と自己効力感は違う
私たちはよく、
「自己肯定感を高めるために褒める」
という言葉を使います。
しかし、その前に整理しておきたいことがあります。
それは、
自己肯定感と自己効力感は別のもの
だということです。
自己効力感とは
自己効力感とは、
「私はできる」
という感覚です。
成功体験や達成体験を通して育っていきます。
例えば、
- 一人で靴が履けた
- 逆上がりができた
- 発表会を頑張れた
こうした経験が自信につながります。
自己肯定感とは
一方、自己肯定感とは、
「私は私のままで価値がある」
という感覚です。
つまり、
- 自己効力感=できる自信
- 自己肯定感=存在する自信
なのです。
似ているようで、実は全く違います。
「できるから愛される」の危険性
もし子どもが、
「できたから褒められた」
「頑張ったから認められた」
という経験ばかりを積み重ねるとどうなるでしょうか。
その裏側には、
「できない私は価値がない」
という不安が生まれてしまいます。
だから私たち保育者は、
結果だけを評価するのではなく、
子どもの存在そのものを認めていく必要があります。
子どもが本当に求めているもの
子どもが泣いている時。
怒っている時。
悲しんでいる時。
私たちはよく、
「悲しかったんだね」
「悔しかったんだね」
「嫌だったんだね」
と声をかけます。
もちろん大切な関わりです。
しかし、本当の共感とは感情を当てることではありません。
共感とは共同作業
共感とは、
感情を当てるゲームではなく、
子どもの内面を探る共同作業です。
保育者が言葉を返した時、
子どもが
「うん」
とうなずく。
表情が和らぐ。
身体の力が抜ける。
そんな反応があって初めて、
「この子の心に届いた」
と言えるのではないでしょうか。
愛と感謝の抱っこが育てるもの
私は研修の中で、
保育の質は抱っこに表れる
という話をよくします。
抱っこは、
不安を解消するためだけにあるのではありません。
存在を歓迎する抱っこ
朝会った時。
目が合った時。
「おはよう!」
と声をかけた時。
保育者が両手を広げ、
子どもが飛び込んできてくれたなら、
ぜひ抱きしめてあげてください。
そして伝えてほしいのです。
「大好きだよ」
「来てくれてありがとう」
「会えて嬉しいよ」
と。
愛情を蓄える時間
これは問題解決のための抱っこではありません。
存在を歓迎するための抱っこです。
不安を消すための抱っこではありません。
愛情を蓄えるための抱っこです。
自己肯定感を育てる保育とは
自己肯定感は、
問題が起きた時だけの関わりで育つものではありません。
何も起きていない日常の中で、
「あなたがいてくれて嬉しい」
というメッセージを伝え続けることで育ちます。
比較の世界と存在の世界
比較の世界で育つ自信と、
存在の世界で育つ安心は違います。
良い子だから愛されるのではありません。
愛されているから良い子になろうとするのです。
まとめ|保育士は子どもの存在を祝福する人
私たち保育者は、
子どもを評価する人ではなく、
子どもの存在を祝福する人でありたい。
抱っことは、
不安を消す技術ではありません。
存在を祝福する文化です。
私はこれからも、
愛と感謝の抱っこを通して、
子どもたちに
「あなたはそのままで大切な存在なんだよ」
というメッセージを伝え続けていきたいと思います。
